| 発明の名称 |
混合冷媒用ヒートポンプ式エアコン |
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| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平6−213518 |
| 公開日 |
平成6年(1994)8月2日 |
| 出願番号 |
特願平5−3858 |
| 出願日 |
平成5年(1993)1月13日 |
| 代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小川 勝男
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| 発明者 |
内田 麻理 / 伊藤 正昭 / 工藤 光夫 / 楠本 寛 / 松嶋 弘章 |
| 要約 |
目的 混合冷媒特有の伝熱性能低下の問題を解決し、混合冷媒に適したヒートポンプを提供する。
構成 凝縮器として使用している熱交換器の出口側の冷媒と、蒸発器として使用している熱交換器の出口側の冷媒とを、熱交換可能な構造とした。 |
特許請求の範囲
【請求項1】室内外に熱交換器を備え、冷媒の流れ方向を使用目的に応じて逆方向に切替ることにより冷房,暖房どちらの条件でも運転を可能とする、非共沸混合冷媒を用いた空気調和装置において、冷房時においても、暖房時においても、凝縮器として使用されている前記熱交換器の下流側の冷媒と、蒸発器として使用されている前記熱交換器の下流側の冷媒を熱交換させる手段を設けたことを特徴とする混合冷媒用ヒートポンプ式エアコン。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は作動流体として、混合冷媒を用いたヒートポンプ式空気調和機,冷凍機等の性能改善に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、冷蔵庫等の冷凍サイクルにおいて、蒸発器から圧縮機への配管途中に熱交換器を設置して、蒸発した低温低圧のガス冷媒と、凝縮器からの高温高圧の液冷媒とを熱交換させるサイクルは公知である。例えば、山田治夫:冷凍及び空気調和p.54〜55 養賢堂(1985)によると、この過冷却・過熱サイクルは標準サイクルと比べると、冷媒単位重量当りの冷凍効果は増すが、圧縮機に吸入されるガス冷媒の比容積が増加し、冷媒循環量が減少するという、両者の効果が相殺される結果となるため、実際の冷凍能力への影響はそれほど大きくないとしている。しかし、このサイクルを用いることより、液冷媒は過冷却され、気泡が混入しない状態で膨張弁を通るため、制御性が良くなるという利点がある。また、空調機のサイクルにおいても同様のものがあるが、圧縮機吐出温度や冷媒循環量の制御を目的として用いられている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】沸点の違う2種類以上の冷媒を混合した混合冷媒を、現状の単一冷媒用熱交換器にそのまま適用すると、凝縮の場合、凝縮器出口部で冷媒は完全に凝縮されず、サブクールがとれないという問題が生じる。この理由の一つとしては、相変化が進むと、気液界面において高沸点成分が多く凝縮し低沸点成分が気相側に濃縮され、拡散抵抗及び熱抵抗となるため、図12に示すように、低乾き度域で伝熱性能が著しく低下するためと考えられる。さらに別の理由を線図により説明すると次のようになる。図10に単一冷媒の、図11に混合冷媒のモリエル線図の一例を示す。モリエル線図は縦軸に圧力を対数座標でとり、横軸にエンタルピをとったもので、冷凍サイクルの実用的な設計計算に、広く利用されている。線図上で、左端の実線は飽和液線を、右端は飽和蒸気線を示し、その間に等乾き度線が引かれている。図10の単一冷媒の場合は飽和温度一定で凝縮が進むが、沸点の違う混合冷媒の場合は、相変化の進行にともない混合組成に変化が生じ、気液平衡関係に従って飽和温度も変化していく様子が図11によってわかる。また、飽和域において、単一冷媒は乾き度の変化に対するエンタルピの変化はほとんど等間隔であるが、混合冷媒の場合は必ずしも当間隔ではなく、特に乾き度の低い領域においてエンタルピ変化分に対する乾き度の変化が小さい。これによっても、凝縮器出口において凝縮が完了しない理由が説明できる。 【0004】次に、混合冷媒の気液平行線図を図9に示す。一定圧力下における、混合冷媒の相変化の過程はこの図により説明され、図中、横軸は高沸点冷媒Aに対する、低沸点冷媒Bの混合組成比を表し、縦軸は温度を示している。また、レンズ型のカーブ内が飽和域で、露点曲線より上部が過熱域,沸騰曲線の下部が過冷却域を示している。凝縮器内部での相変化は、組成xの線上を過熱域からa点を通り、b点を経て完了し、過冷却されると説明できるが、実際はb点付近では低沸点成分がリッチな状態であるため、有効温度差が小さくなり、凝縮が進みにくくなる。 【0005】蒸発の場合についても、単一冷媒と比較して、混合冷媒を用いることにより、図12に示すように高乾き度域で、熱伝達率の低下がみられる。 【0006】また、伝熱管管頂部での熱伝達率の低下も報告されており、これは単一冷媒の場合とは逆の現象である。その理由は、相変化の過程で、混合冷媒中の低沸点成分が先に蒸発するため、液膜の薄い管頂部の溶液が高沸点成分リッチな状態となり、局所的な飽和温度が管底部に比べて高くなることが原因とされている。蒸発の場合、低乾き度域でのエンタルピ差については、この範囲は膨張弁等のしぼり過程であるため、凝縮器と違い、あまり問題にされていないが、高乾き度域で、蒸発が完了しないことによる影響は空調機の設計上、大きな問題になる。 【0007】これらの問題を熱交換器自体で解決するためには、熱交換器の伝熱面積を増やす、あるいは特定の乾き度域で、伝熱管及び、フィンを含めた伝熱促進技術が必要となるが、その場合、熱交換器の形状が複雑になり、製作コストの増大につながる。また、既存の熱交換器以外に、サイクル内に温度差を大きくとれる、新たな熱交換器を付加することによる解決も考えられるが、やはり、コスト高につながる。 【0008】本発明の目的は、混合冷媒特有の伝熱特性の問題を解決し、混合冷媒に適したヒートポンプを提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】以上の問題を解決するために、凝縮器として使用している熱交換器の出口側の冷媒と、蒸発器として使用している熱交換器の出口側の冷媒とを、熱交換可能な構造とした。 【0010】 【作用】上記構成により、凝縮器で凝縮液化しきれなかった低沸点冷媒を完全に凝縮させることができる。その結果、膨張弁には過冷却された液のみが流入し、膨張弁の制御性が損なわれることがない。また、冷媒が過冷却された状態で膨張弁を通過するので、音の発生を防止することができる。さらに、蒸発器で蒸発しきれなかった高沸点冷媒も完全に蒸発させることができるので、圧縮機には十分過熱された蒸気が流入し、液バックを防ぐことができる。 【0011】 【実施例】次に、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。図2には、暖房運転時のヒートポンプにおいて、熱交換器7aを付加した本発明のサイクル構成の一実施例を示す。図2において、熱交換器7aは室外ユニットA内の膨張弁4手前に備えられ、冷却熱源として、圧縮機1の入口の低温側冷媒を用いている。この熱交換器により、室内側熱交換器5で凝縮した冷媒と、室外側熱交換器3で蒸発した冷媒とを熱交換させる構成になっている。 【0012】また、図3には、ヒートポンプの冷房運転時のサイクルの一実施例を示す。図では、冷媒のながれ方向は図2のサイクルとは逆に、室外側熱交換器5が凝縮器として働くので、熱交換器7bは膨張弁4と室外側熱交換器3のラインの間に設置してある。サイクルが、各々暖房専用、あるいは冷房専用の場合、熱交換器7b及びバイパスラインへの切り替えは単純な構成となる。 【0013】次に図1にヒートポンプにおける実施例を示す。図中実線の矢印は、暖房運転時の冷媒の流れ方向を、破線の矢印は冷房運転時の冷媒の流れ方向を示す。 【0014】図1のように、ヒートポンプとしてサイクル構成がなされている場合、膨張弁前後の熱交換器7に逆サイクルで冷媒が流れると不要な熱交換が起こる。これを防ぐために、凝縮器からの二相状態の液冷媒が熱交換器に流れる回路は、運転条件によって2方弁9を切り替えて選択し、各々の配管には逆止弁8を設けてある。 【0015】次に、熱交換器7の実施例を図5に示す。図中白抜きの矢印は高温側冷媒を、ハッチした矢印は低温側冷媒を示す。この熱交換器は、異なる径の伝熱管を同心円状に配置した二重管式熱交換器である。図5(a)において、二重管の外管外表面は断熱されおり、内管内14を凝縮器からの冷媒が流れ、環状部15を蒸発器からの冷媒が対向流で流れて熱交換する構造になっている。また、図5(c)のように圧縮機入口の冷媒配管11の周囲に凝縮管12を沿わせたり、図6(a)のように低温配管11の周囲に高温配管12を螺旋状に巻きつけた構造も考えられる。別の実施例として、蓄冷熱槽を備えた構成も考えられる。この蓄冷熱槽によって、凝縮器からの二相状態の冷媒を、蒸発器からの低温冷媒によって過冷却するものである。図6(b)に蓄熱槽の断面図を示す。蓄熱槽内の伝熱管は平滑管になっているが、応用例として、積層したフィンを嵌合したものであってもよい。 【0016】図4に運転条件による切り替えバルブを用いないサイクル構成図を、図7(a)に図4のサイクルに付加した熱交換器7の斜視図を図7(b)に断面図を示す。このサイクルでは、膨張弁を挟んで暖房運転用冷媒回路16d、及び冷房運転用冷媒回路16cを持ち、各々の回路には逆止弁8が設けてある。この回路に備えられた熱交換器7は円筒形の容器10の下部に高温側冷媒伝熱管12,上部に低温側冷媒伝熱管11を備え、両者を間接的に熱交換させるための作動媒体13を封入して、密閉したものである。凝縮器を出た冷媒は作動媒体内に浸された下部の伝熱管12を、蒸発器からの冷媒は上部の伝熱管11を流れる。この構成により、凝縮器から二相状態で流出した冷媒は、熱交換器内の作動媒体と熱交換し、完全に凝縮する。一方、作動媒体は液冷媒を加熱源にして蒸発し、上部の伝熱管によって冷却され、凝縮して流下するサイクルを繰り返す。図7において伝熱管は平滑管になっているが、応用例として外面にフィン加工を施したもの、積層したフィンを嵌合したものであってもよい。このような構造にすると、伝熱管11に低温の冷媒が流れ、伝熱管12に高温の冷媒が流れる場合には熱交換が行われるが、逆サイクルで伝熱管11に高温冷媒が、伝熱管12に低温冷媒が流れる場合には、ほとんど熱交換が行われず、切り替えバルブが不要となる長所がある。 【0017】 【発明の効果】本発明によれば、凝縮器下流において、気液2相で流出した混合冷媒のサブクールを十分にとることができ、膨張弁における制御性を良好にし、流動音の発生を防ぐ等の効果を得る。また、蒸発器出口の混合冷媒を十分過熱された蒸気とすることができ、圧縮機への液バックを防止する効果を得ることができる。
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