| 発明の名称 |
電着塗料組成物 |
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| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平6−340832 |
| 公開日 |
平成6年(1994)12月13日 |
| 出願番号 |
特願平5−130362 |
| 出願日 |
平成5年(1993)6月1日 |
| 代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二 (外4名)
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| 発明者 |
深田 新 / 安部 賛 / 久米 政文 |
| 要約 |
目的
構成 電着塗料の樹脂固形分100重量部に対して、球状の高純度アモルファスシリカ粉を0.1〜40重量部含有することを特徴とする電着塗料組成物。 |
特許請求の範囲
【請求項1】電着塗料の樹脂固形分100重量部に対して、球状の高純度アモルファスシリカ粉を0.1〜40重量部含有することを特徴とする電着塗料組成物。 【請求項2】球状の高純度アモルファスシリカ粉が、金属ケイ素粉末を燃焼させることによって生成する蒸気状のケイ素酸化物を冷却して得られるシリカ粉である請求項1記載の電着塗料組成物。 【請求項3】電着塗料が、カチオン型電着塗料である請求項1又は2記載の電着塗料組成物。 【請求項4】電着塗料が、球状の高純度アモルファスシリカ粉以外に、顔料分としてチタン白及び/又は防錆性顔料及び必要に応じて他の顔料を含有するものである請求項1、2又は3記載の電着塗料組成物。 【請求項5】電着塗料の樹脂固形分100重量部に対して、球状の高純度アモルファスシリカ粉の含有量が0.1〜35重量部であり、該球状の高純度アモルファスシリカ粉を含む全顔料量が50重量部以下である請求項4記載の電着塗料組成物。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、球状の高純度アモルファスシリカ粉を含有する、顔料沈降防止性に優れ、且つ塗面仕上り性及び耐チッピング性に優れた塗膜を形成できる電着塗料組成物に関する。 【0002】 【従来の技術及びその課題】電着塗料は、つきまわり性に優れ、且つ防錆性に優れた塗膜を形成できることから、袋構造部を多く有する部材、例えば自動車、電気器具等の塗装に広く実用化されている。 【0003】一般に電着塗料は、十分な防錆効果と塗膜物性の向上を目的として、多量の防錆顔料、チタン白等が配合されているが、これらの顔料は比重が大きく塗料中で容易に沈降するため電着浴の管理が困難であるという問題が発生し、また、防錆性の効果も次第に低下してくるという問題もある。更に、電着塗装中の被塗物の水平部に顔料沈降が起こるために、塗膜に肌荒れ、塗装ムラ等の欠陥を生じるという問題がある。 【0004】電着塗料の顔料沈降を防止するために、従来公知の乾式法、湿式法、ケイ酸のゲル化等による微細な合成シリカ粉を添加して塗料にチクソトロピー性を付与することが一般的であるが、大比重顔料の沈降の防止を十分に発揮させるためには、多量の微細なシリカ粉を必要とし、その結果、電着塗膜の光沢低下、熱流動性の低下による肌荒れ、電着塗装時における水素ガスの抜けあとなどの塗膜欠陥の発生、塗膜物性の低下、及び顔料分散性が低下するという問題点がある。 【0005】また近年、自動車産業分野では、車体外板の腐食環境(例えば、寒冷地での岩塩散布等)における耐久性向上の要求が高まっている。即ち、車の走行時に岩塩粒子や小石が車体の塗膜面に衝突すると該塗膜が剥離して所謂チッピングを起こすという問題があり、特に低温環境下では、塗膜が硬くなり弾性を失うのでその衝撃を緩和できず、上記剥離を生じやすくなり、低温環境下でのチッピング対策の検討が急務となっている。 【0006】この対策として、本出願人は、被塗物に電着塗装後、静的ガラス転移温度が低いチッピングシーラーを塗布し、次いで通常の中塗り、上塗り塗装を行う塗装法を提案した(例えば特開昭62−65765号公報等)。このチッピングシーラーの塗布膜厚は、3〜10μmが好ましい範囲であり、これ以下では耐チッピング性の効果があまり期待できず、またこれ以上では上塗り塗装後の仕上り外観が低下する傾向にある。しかしながら、通常用いられるスプレー塗装方法では、かかる膜厚管理が難しく、量産塗装ラインでの対応に問題があった。また、従来の塗装工程に、チッピングシーラーを塗布する工程を増やすことは省工程の観点からは逆行するものであり、経済的にも好ましいとはいえない。 【0007】 【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、顔料沈降防止性に優れ、且つ塗面仕上り性及び耐チッピング性に優れた塗膜を形成できる電着塗料組成物を得るべく鋭意研究の結果、電着塗料中に球状の高純度アモルファスシリカ粉を用いることによって、電着塗料浴中におけるチタン白や防錆性顔料等の沈降を防止でき、被塗物の水平部と垂直部における塗膜の平滑性の差が殆んどなく、塗面仕上り性及び耐チッピング性の優れた塗膜を形成できることを見出し本発明を完成するに至った。 【0008】即ち本発明は、電着塗料中に、球状の高純度アモルファスシリカ粉を含有せしめてなることを特徴とする電着塗料組成物に係る。 【0009】本発明において使用される球状の高純度アモルファスシリカ粉(以下、「球状シリカ粉」と略称する。)は、球状でシリカを98%以上含有する高純度の無定形シリカ微粉末であればよく、例えば金属ケイ素粉末を燃焼させることによって生成する蒸気状のケイ素酸化物を冷却して得ることができる(特開昭60−255602号、特開平2−289404号、特開平3−170319号参照)。 【0010】この製造方法に於て、燃焼及び冷却状態を制御することによって得られるシリカ粉の粒径を適宜変化でき、通常、直径0.01ミクロンから10ミクロンの間で任意の大きさの粒の揃った球状の微粒子を得ることができる。 【0011】上記球状シリカ粉の比重は、特に制限されるものではないが、塗料中の防錆性顔料成分が被塗物の水平部に沈降して塗膜に肌荒れ等の欠陥を生じるのを防止する観点から3.0g/cm3 以下更には2.0〜2.8g/cm3 の範囲の比重であることが好ましく、また、電着塗料の浴管理、塗面仕上り性、顔料分散性の観点から平均粒径が10ミクロン以下、好ましくは0.1〜1.0ミクロンの範囲であることが適している。また、吸油量は、通常10〜50ml/100g、好ましくは15〜35ml/100gの範囲である。上記球状シリカ粉は従来の粉砕シリカ粉末と比較して、球状で形状が揃っており顔料分散性に極めて優れている。 【0012】本発明において、上記球状シリカ粉を含有せしめる電着塗料としては、電着塗装が可能なものであって、従来から公知のアニオン型、カチオン型の電着塗料を使用することができる。 【0013】このような電着塗料の被膜形成性樹脂成分としては、アニオン型の場合にはカルボキシル基を有するアニオン性樹脂が挙げられ、この樹脂は苛性ソーダ、苛性カリ、アンモニア、アミン等の塩基である中和剤で中和され水に分散もしくは溶解して使用される。上記アニオン性樹脂としては、例えばマレイン化ポリブタジエン、カルボキシル基含有油変性エポキシエステル樹脂、カルボキシル基含有アクリル樹脂、カルボキシル基含有アルキド樹脂等が挙げられる。 【0014】またカチオン型電着塗料の場合の被膜形成性樹脂成分としては、アミノ基を有するカチオン性樹脂が挙げられ、この樹脂は塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸等の酸である中和剤で中和され水に分散もしくは溶解して使用される。上記カチオン性樹脂としては、例えばアミン付加エポキシ樹脂、ポリアミド変性エポキシ樹脂、ポリエステル変性エポキシ−アミン付加樹脂、アミノ基含有ポリプタジエン樹脂、アミノ基含有アクリル樹脂等が挙げられる。 【0015】本発明において、電着塗料としては、カチオン型のものが一般に耐食性に優れる点からより好ましい。 【0016】本発明においては、上記アニオン性樹脂又はカチオン性樹脂の有する官能基に応じてアミノ樹脂、ポリイソシアネート等の硬化剤が添加されることが好ましい。 【0017】本発明の電着塗料組成物には、水、中和剤、被膜形成性樹脂成分及び球状シリカ粉以外に、必要に応じて、上記硬化剤、更に顔料、硬化触媒、有機溶剤、顔料分散樹脂、塗面調整剤等を配合することができる。 【0018】上記顔料としては、従来から電着塗料の顔料として一般に用いられている顔料が使用でき、通常、チタン白及び/又は防錆性顔料及び必要に応じて他の顔料を組合せて用いられる。 【0019】上記防錆性顔料としては、ケイ酸鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸ストロンチウム、水酸化鉛、トリポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。また上記他の顔料としては、カーボンブラック等の着色顔料;クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム等の体質顔料が挙げられる。 【0020】本発明においては、電着塗料中にチタン白及び/又は防錆性顔料等の比重の高い顔料が配合されていても、球状シリカ粉が配合されているため顔料沈降を防止でき、肌荒れや塗装ムラや水素ガスの抜けあと等の塗膜欠陥のない、塗面仕上り性が良好で、塗膜物性の良好な塗膜を得ることができる。 【0021】本発明において、前記球状シリカ粉の配合量は、電着塗料の樹脂固形分100重量部に対して、0.1〜40重量部である。球状シリカ粉の配合量が0.1重量部未満では配合による効果が充分でなく、一方40重量部を超えると塗面仕上り性、塗膜物性及び耐チッピング性等が低下する。更に、耐チッピング性の点から、電着塗料の樹脂固形分100重量部に対して、球状シリカ粉の量が0.1〜35重量部、より好ましくは5〜30重量部であり、球状シリカ粉を含む全顔料量が50重量部以下であることが好ましく、40重量部以下であることがより好適である。 【0022】本発明電着塗料組成物の塗装方法は、該組成物がカチオン型の場合には、被塗物を陰極にし、ステンレスやカーボン等の対極を陽極として電着塗装を行なう。一方、該組成物がアニオン型の場合には、被塗物を陽極にし、対極を陰極として電着塗装を行なう。電着塗装は、通常、浴温度15℃〜35℃、50〜400ボルトの塗装電圧で、通常1分〜20分間行われる。電着塗装された被塗物は、水洗され、次いで通常150〜200℃で5〜60分間加熱が施され硬化塗膜が形成される。 【0023】 【発明の効果】本発明電着塗料組成物は、配合される球状シリカ粉が、球状の微粉末であるため、粉砕シリカ粉と比較して、吸油量が低く、顔料自体の樹脂中への分散性も良好であり、且つ多量に配合しても塗膜物性の低下が小さいため多量に配合でき、また理由は明らかではないが、チタン白や防錆顔料等の沈降を効果的に防止することができるので、浴管理が容易になり、安定して塗面仕上り性の良好な電着塗膜を形成することができる。 【0024】電着塗膜における耐チッピング性は、一般に顔料分が増大する程悪くなる傾向があるが、本発明において、球状シリカ粉を配合すると、チタン白や粉砕シリカ、クレー、タルク等を配合する場合に比較して、配合量の増加に対する耐チッピング性の低下が非常に小さいものであり、同一顔料量で比較すると極めて耐チッピング性の良好な電着塗膜を得ることができる。また球状シリカ粉を多量に配合しても上述のように塗面仕上り性の良好な電着塗膜を形成することができる。 【0025】 【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、以下「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。 【0026】実施例1関西ペイント社製「エレクロン2000クリヤー」(固形分35%、熱硬化性水性ポリアミド変性エポキシポリアミノ樹脂−ブロックイソシアネート系カチオン電着塗料樹脂クリヤー)315部に、高速撹拌器にてガラスビーズを分散メジアとして3時間分散して得られた表1に示す配合(部)の顔料ペーストを加えて低速で15分間撹拌した後、脱イオン水で稀釈して不揮発分20%のカチオン型電着塗料組成物を調製した。 【0027】実施例2〜9及び比較例1〜8実施例1において、顔料ペースト配合(部)を後記表1の各例に示す配合とする以外、実施例1と同様に行なって各カチオン型電着塗料組成物を調製した。 【0028】上記各例で得たカチオン電着塗料の浴中に水平にセットした陰極部の被塗物(板厚0.8mmのリン酸亜鉛処理冷延鋼板)と陽極部であるステンレス板との間で印加電圧250Vで3〜4分電着塗装を行なって、乾燥膜厚で約20μmの電着塗膜を得た。ついで余分な塗料を水洗にて取り除いた後170℃で30分間焼き付けた。 【0029】得られた焼付け電着塗板について、電着塗膜仕上り性、耐衝撃性、耐食性及び耐チッピング性の試験を行なった。また高速撹拌機にてガラスビーズを分散メジアとして3時間分散して得られた、各実施例及び比較例で使用した顔料ペーストについて分散粒子のツブを調べた。更に各例で得られた電着塗料の顔料沈降性についても調べた。これらの試験結果を後記表1に示す。 【0030】表1における試験は下記試験方法に従って行なった。 【0031】電着塗料の顔料沈降性:3lの四角のポリ塩化ビニル容器に塗料2.5lを入れ5時間静置後、撹拌機にて回転数120回/分の条件で5分間撹拌し、容器底の顔料の沈降状態を目視評価した。 【0032】○:沈降物がほとんどない、×:沈降物が多く残存しており、その沈降物は固い。 【0033】電着塗膜の仕上り性;水平部の電着塗膜の塗面状態を肉眼で評価した。 【0034】◎:異常なし、○:ツヤビケがわずかに認められる、△:ブツがわずかに認められる、×:ブツやツヤビケが顕著に認められる。 【0035】耐衝撃性:JIS K5400 8.3.2(1990)のデュポン式耐衝撃性試験に準じて、落錘重量1kg、撃芯の先端直径1/2インチの条件にて塗面を上向きにして試験を行ない、塗膜にワレ又はハガレが発生する最小の落錘高さを表示した。 【0036】耐食性:塗面にクロスカットを入れ、JIS Z 2371による塩水噴霧試験を240時間行なった。その時の塗板のクロスカットにおける片側の錆幅が2mm以下のものを○(良好)とした。 【0037】耐チッピング性:試験塗板の作成;焼付け電着塗板の電着塗膜面にアミノアルキド系中塗り塗料〔関西ペイント株式会社製、「アミラックTP37シーラー」〕を硬化膜厚が25〜35μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して硬化させた。更に中塗り塗装面に上塗り塗料を塗装した。この上塗り塗装は、「ネオアミラック#6000」〔関西ペイント株式会社製、アミノアルキド塗料〕を硬化膜厚が30〜40μmの厚さになるように塗装し、140℃で30分間焼き付けて硬化させて試験塗板を得た。 【0038】耐チッピング性試験条件;Q−G−R−グラベロメータ(Qパネル会社製品)を用い、7号砕石50gを4kg/cm2 のエア圧、−20℃の温度条件で、上記試験塗板に砕石を吹き付け塗膜に衝撃を与えた。ついで、この塗膜に粘着ガムテープを貼着し、急激に剥離した後、塗膜の外観を肉眼で評価した。 【0039】◎(非常に良):上塗り塗膜の一部に、衝撃によるキズ、或いは上塗り塗膜と中塗り塗膜或いは中塗り塗膜と電着塗膜との間に剥離が極くわずか認められる程度で、電着塗膜の剥離を全く認めず。 【0040】○(良):上塗り塗膜と中塗り塗膜或いは中塗り塗膜と電着塗膜との間で若干の剥離が認められ、電着塗膜の剥離がわずかに認められる。 【0041】△(不良):上塗り塗膜と中塗り塗膜間或いは中塗り塗膜と電着塗膜間で剥離が多く認められ、電着塗膜の剥離もかなり認められる。 【0042】 【表1】
【0043】 【表2】
【0044】表1における(注)は以下の通りである。 【0045】(注1)アドマファインSO−25R:(株)アドマテックス社製、球状の高純度アモルファスシリカ粉、SiO2 純度99.8%、平均粒径0.5μm、ベックマン法による比重2.36、吸油量26ml/100g。 【0046】(注2)アドマファインSO−25H:(株)アドマテックス社製、球状の高純度アモルファスシリカ粉、SiO2 純度99.99%、平均粒径0.5μm、ベックマン法による比重2.34、吸油量24ml/100g。 【0047】(注3)サイロイド244:富士デヴィソン化学社製、合成シリカ、ケイ酸のゲル化によって得られ、一次粒子が化学結合により三次元的につながった多孔性に富む網目構造を有する。平均粒径3.5μm、吸油量300ml/100g。
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