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発明の名称 高強度・高延性鋼線用高炭素鋼線材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−49592
公開日 平成6年(1994)2月22日
出願番号 特願平5−129219
出願日 平成5年(1993)5月31日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 章一
発明者 塚本 孝 / 浅川 基男 / 藤田 通孝 / 津村 輝隆
要約 目的
従来の加工度:3.6のままで伸線を行っても、強度370kgf/mm2以上、捻回値30回以上の特性を有し、かつ高い耐久比 (疲労強度/引張強さ) を有する鋼線の素材となる鋼線材を提供する。

構成
C:0.80〜1.10%、Mn≦0.45%、Cr:0.15〜0.35%、B:0.0005〜0.01×Cr [%] +0.001 %を含む鋼組成を有する鋼線材。Cr含有量に応じた含有量のBを添加して、パーライト中のセメンタイトの成長を促進することにより、延性および疲労特性を改善する。
特許請求の範囲
【請求項1】 重量%で、C:0.80〜1.10%、Si≦0.25%、Mn≦0.45%、P≦0.010 %、S≦0.010 %、Cr:0.15〜0.35%、N≦0.0040%、B:0.0005〜0.01×Cr [%] +0.001 %残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする高強度・高延性鋼線用高炭素鋼線材。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、自動車用スチールタイヤの補強用コードワイヤとして使用される鋼線の素材として用いることができる高炭素鋼線材に関し、特に、従来よりも高強度・高延性の鋼線を提供できる高炭素鋼線材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車用スチールタイヤ、コンベアベルト、高圧ホース等のゴム製品の補強材として使用されるコードワイヤやビードワイヤ等の鋼線は、一般的には、直径がおよそ0.2mm 程度の高炭素鋼製フィラメント、つまりコードワイヤを撚って得たストランドであり、現状ではフィラメントの強度は310kgf/mm2程度である。
【0003】例えばコードワイヤは、一般的には、【0004】
【数1】

【0005】という工程で製造される。上記表中の数字は寸法 (mm) を表わす。
【0006】このコードワイヤの素材となる鋼線材には、AISI規格−C1080 に代表される共析炭素鋼が用いられてきた。その代表的組成例を表1に示す。
【0007】
【表1】

【0008】すなわち、かかる組成を有する鋼線材に、パテンティング処理を施して強度を115〜125kgf/mm2にした後、ゴムとの接着力確保のためにブラスメッキを施してから、表面への潤滑剤の付着を極力避けるために湿式法により最終伸線を行い、例えば強度310kgf/mm2、線径0.2 mmの鋼線を製造していた。
【0009】近年の自動車軽量化の一環として自動車用タイヤにも軽量化が求められており、かかる軽量化への要求に応えるため、370kgf/mm2以上といったより高強度の鋼線が求められるようになってきた。しかし、表1に示す鋼組成を有する従来の鋼線材を用いたのでは、製造条件を最適に設定しても実用上 350〜360kgf/mm2程度の強度しか得られなかった。
【0010】しかもこの強度を得るために、伸線の際の加工度:In(母材断面積/伸線後断面積) は少なくとも4.0 は必要となるが、現状では加工度:3.6 (直径1.2mm の伸線材の直径0.2mm の鋼線への加工) が常用されており、4.0 以上の加工度を得るためには湿式伸線機を改造してダイスの通過回数を増加する必要があった。
【0011】一方、図2は、表1に示す組成を有する鋼線材に伸線を行って得られる鋼線の強度TSおよび絞りRAと、伸線時の限界加工度ln( A0/An ) との関係を示すグラフであるが、図2からも明らかなように、現状の3.6 程度の加工度で伸線を行ったのでは得られる強度は300kgf/mm2程度であった。そこで、従来より鋼線の強度を高めることを目的とした技術が種々提案されている。
【0012】特開平2−194147号公報により提案された技術では、Crが0.10〜0.30% (以下、本明細書においては特にことわりがない限り「%」は「重量%」を意味するものとする) 添加された鋼線材を用いる。
【0013】特開平3−271329号公報には、C含有量を0.90〜1.25%と高めるとともに、Cr含有量を0.1 〜1.0 %、さらに必要に応じてB含有量を0.1 %以下とした鋼線材に伸線を行い、初析セメンタイトを生じさせないためにC含有量に応じて冷却速度を限定した熱処理を行うことにより、高減面率の伸線を可能として高強度鋼線を製造する技術が提案されている。
【0014】さらに、本発明者は、先に特開平3−240919号公報により、略述すれば、C含有量:0.7 〜0.9 %の鋼線材に加工度4.8 程度の伸線を行うことにより高強度鋼線を製造する技術を提案した。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】特開平2−194147号公報により提案された技術では、加工度3.6 程度の伸線を行うものの360kgf/mm2前後の強度しか得られておらず、また延性を示す指標である捻回値も25回前後と通常のレベルであり、所望の高強度・高延性鋼線を製造することはできない。さらに、鋼線として最も重要な特性の一つである疲労特性については何ら言及されていないため、その実用性が明らかでない。
【0016】特開平3−271329号公報により提案された技術では、たとえ初析セメンタイトの生成を抑制できたとしても、パーライト中のセメンタイト量が増加し、加工中に疲労特性を劣化させる微小欠陥がフェライトとセメンタイトとの界面に発生してしまう。この点について何等言及されていないため、その実用性が明らかでない。
【0017】さらに、特開平3−240919号公報により提案された技術によれば確かに加工度4.8 の伸線により400kgf/mm2を超える強度を有する鋼線が提供される。しかし、この技術によっても現状と同程度の加工度:3.6 の伸線を行ったのでは300kgf/mm2程度の強度しか得られず、しかも熱処理に特別な手法を要さなければかかる高強度は得られない。
【0018】このように、伸線を行って得られる鋼線の強度を上昇させるためには、基本的には伸線前の強度を高くすること、および加工度を高くすることが重要である。図3には、伸線前の伸線材の強度ないしはラメラ間隔と、伸線加工度または鋼線の到達強度との関係をグラフで示すが、合金元素を含まない共析炭素鋼からなる鋼線材の伸線前の強度を高くし過ぎると加工度を高くできなくなるため鋼線の強度は向上しない。一方、伸線前の強度を低くしておけば加工度を大きくできるものの、やはり鋼線の到達強度は上昇しない。
【0019】これらの問題を解決するために通常は共析炭素鋼にCr等の合金元素を添加するが、変態に時間を要するようになったり、パーライト組織中のセメンタイトが十分成長しないために延性や疲労特性等が劣化して鋼線としての使用に耐えないという問題があった。
【0020】ここに、本発明の目的は、従来の製造条件 (加工度) のままで、特に加工度Inε=3.6 の条件で、フェライト−セメンタイト界面における微小欠陥の発生を抑制しながら伸線を行って、強度370kgf/mm2以上、捻回値30回以上の特性を有し、かつ耐久比 (疲労強度/引張強さ) が1/3 前後と良好な疲労特性を有する鋼線の素材となる鋼線材を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者は、C:0.88%、Si:0.30%、Mn:0.50%であってCr含有量を0、0.40、0.55、0.75、1.00、1.10、1.30および1.50%の8水準に変化させた組成を有する8種の鋼線材にそれぞれ伸線 (加工度 : 3.6) および熱処理を繰り返し行って鋼線を製造し、この鋼線の到達強度と加工度とを測定した。結果をCr含有量との関係で図4にグラフで示す。
【0022】同図から明らかなように、Cr含有量が0.5 〜1.0 %の範囲のときに到達強度が極めて大きくなるが、これはラメラ間隔が0.12μm (LP 材TS≒135 kgf/mm2)と比較的粗い場合であった。ラメラ間隔を細かくすれば当然に伸線前の強度 (LP材TS) は上昇する。しかし、Cr含有量が0.5 %未満の領域ではパーライト中のセメンタイトの成長が不十分で延性が低く、限界加工度ln( A0/An ) がかえって低下するためにこれ以上細い組織とすることはできず、到達強度が低下してしまう。
【0023】そこで、本発明者らはCr含有量が0.5 %未満の領域についてラメラ間隔の微細化により、伸線前の強度、限界加工度さらには伸線後の強度を各々向上させるべく鋭意研究を続けた。
【0024】その結果、図1にグラフで示すように、BをCr含有量により規定されるある一定量だけ複合添加することにより、Cr含有量が0.15%から0.35%の範囲で、パーライト中のセメンタイトの成長を促進できるため、ラメラ間隔の微細化により鋼線の延性および伸線性を向上させることができ、鋼線の伸線による更なる強度上昇が可能になることがわかり、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。
【0025】ここに、本発明の要旨とするところは、C:0.80〜1.10%、Si≦0.25%、Mn≦0.45%、P≦0.010 %、S≦0.010 %、Cr:0.15〜0.35%、N≦0.0040%、B:0.0005〜0.01×Cr [%] +0.001 %残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする高強度・高延性鋼線用高炭素鋼線材である。
【0026】このように、本発明は、特に、■加工硬化を増加させて強度アップを図るためにCr含有量の下限を決定し、熱処理 (パテンティング) 条件をほゞ従来の合金元素を含まない共析鋼の場合と同一にして処理可能にするためにCr含有量の上限を決定し、さらに■Cr含有鋼の欠点であるパーライト組織中のセメンタイトの成長不足を補い延性および伸線性を確保するため、Cr含有量に応じてBを適量添加した点に特徴がある。
【0027】本発明にかかる高強度・高延性鋼線用高炭素鋼線材は、例えば自動車用スチールタイヤ、コンベアベルト、高圧ホース等のゴム製品の補強用の鋼線として使用できる。
【0028】
【作用】以下、本発明を作用効果とともに詳述するが、まず、本発明において、鋼線材の組成を上述のように限定する理由を説明する。
【0029】C:Cは、鋼線の強度を確保するために必要な元素である。その下限値を0.80%としたのは、これより少ないC含有量では目標とする限界加工度3.6 の伸線を行っても370kgf/mm2超の強度の鋼線が得られないからである。一方、上限値を1.1 %としたのは、初析セメントの析出を抑えるためである。一般に空冷程度の冷却速度では、C量が0.95%を超えると初析セメンタイトによる伸線過程における延性劣化が著しくなるが、冷却速度を鉛パテンティングと同等以上にすることにより、1.1 %までは抑制が可能である。したがって、上限値を1.1 %、好ましくは0.95%未満とする。そこでC含有量は、0.80%以上1.1 %以下、望ましくは0.80%以上、0.95%未満とする。
【0030】図5は、C含有量と絞りRA(%) との関係を、Si:0.25 %、Mn:0.43 %、P:0.010%、S:0.010%、Cr:0.25 %、N:0.0040 %、B:0.0025 %の直径1.2 mm鋼線材について示すグラフである。同図から明らかなように、空冷の場合、C含有量が0.95%を超えるとRA(%) の劣化が著しいが、C含有量が0.90〜0.95%では改善されている。また鉛パテンティングの場合、1.1 %を超えると RA(%) の劣化が著しいことが判る。
【0031】Si:Siは、フェライトに固溶して鋼の強度を高める効果を有するが、その一方で共析鋼に添加されると特に延性を劣化させるという特性も有する。しかし、Siは脱酸剤として不可欠なため、本発明ではその上限を0.25%として脱酸効果を維持しつつ延性の低下防止を図っている。そこで、Si含有量は0.25%以下と限定する。
【0032】Mn:Mnは、A1変態点を低下させる性質を有し、共析鋼の場合は組織 (パーライト)を粗くして延性を低下させる。また、MnはPと共に偏析の原因となって延性を低下させる。したがって、Mn含有量は低いほうが望ましいが、Mnは溶銑段階で不可避的に混入するため完全に低減することも容易ではない。そこで、Mn含有量は、実用上弊害の認められない0.45%以下に限定する。
【0033】P、S:P、Sは、ともに、共析鋼からなる鋼線材の伸線性や伸線後の鋼線の延性を劣化させるため、少ないほうが望ましい。特にそれぞれの含有量が0.010 %を超えると、著しく劣化するため、P、Sの含有量は、それぞれ0.010 %以下と限定する。
【0034】Cr:Crは、伸線後の鋼線の強度を高めるために添加される。後述するBをある一定量だけCrと複合添加することにより、Cr含有量が0.15%から0.35%の範囲で、ラメラ間隔の微細化による強度上昇が可能になる。すなわち、Cr含有量が0.15%未満では加工度3.6 での目標強度370kgf/mm2を達成できず、一方Cr含有量が0.35%超であると、ラメラ間隔0.1 μm のパーライト中のセメンタイトの成長が不十分となって延性が低下し、限界加工度がかえって低下する。そこで、Cr含有量は、0.15%以上0.35%以下と限定する。
【0035】N:Nは、パーライト中のフェライトに固溶して、伸線中および伸線後の歪時効の原因となる。したがって、ある一定量以上を含有すると鋼線にとって重要な絞りや捻回値といった延性が劣化してしまう。そこで、延性確保のため、N含有量は、0.0040%以下と限定する。
【0036】B:一般に、Cr添加鋼ではパーライト中のセメンタイトの成長が遅くなり、長さの短いセメンタイトからなるパーライトしか得られない。パーライトの強度はセメンタイトの層間隔により決定されるが、セメンタイトの長さは延性・伸線性等に影響し、より長い方が良好な延性・伸線性を示す。したがって、Cr添加鋼に伸線を行って得られる成品の強度を上昇させるためには、セメンタイトの長さを長くすることも有効である。
【0037】Bを適量添加することによりCr添加鋼の強度を上昇できる。すなわち、図1にグラフで示すように、同一のCr含有量、および同一のラメラ間隔 (図1に示す例では0.10μm)であっても、Bを添加しない場合は限界加工度が低く、かつ到達強度も350kgf/mm2以下である。これはラメラ間隔が同一であってもB非添加の場合はセメンタイトの長さが短く、延性・伸線性が不足するためである。
【0038】これに対し、B添加を行うと、セメンタイトが十分長く成長するため、伸線性が向上し、Cr含有量:0.15〜0.35%の範囲で目標強度:370kgf/mm2以上を達成できる。このように、本発明ではBを添加することにより、パーライト中のセメンタイトの成長を促進し、鋼線材の延性および伸線性を向上させ、さらには伸線により得られた鋼線の延性や疲労特性等を向上させる。
【0039】本発明において、B添加の最も顕著な効果は、パーライト中のセメンタイトが十分長く成長するため、伸線過程に発生する微小欠陥を減少して、疲労特性 (耐久比、疲労強度) が大幅に向上する点にある。すなわち、前述のとおりCr添加鋼の短所であるセメンタイトが短い点を克服するためCr添加量に応じてBを添加することにより、パーライト中のセメンタイトの成長が促進され、伸線中にフェライトとセメンタイトとの界面に発生する微小欠陥の発生が抑制され、疲労特性 (耐久比、疲労強度) が改善される。
【0040】B添加量をCr含有量に応じて、B[%]:0.0005%以上、{0.01×Cr[%] +0.001}%以下で表される範囲に限定したのは、B添加量が下限値を下回るとセメンタイトを必要なレベルまで成長させることができず、また上限値を越えてBを添加しても一定レベル以上の効果は望めないだけでなく、かえって粒界に存在するB量を無視することができなくなり、伸線性を低下させることになる。そこで、B添加量は、B[%] :0.0005%以上{0.01×Cr[%] +0.001 }%以下の範囲に限定する。上記以外の組成は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、Al2O3 、SiO2等を例示できる。
【0041】以上の組成を有する本発明にかかる高強度・高延性鋼線用高炭素鋼線材は、通常の熱処理および伸線により鋼線とされるものであり、何ら特別な工程を経る必要はない。例えば、鋼線材に、熱処理 (パテンティング処理) および伸線を繰り返して行い、強度を 140〜150kgf/mm2にした後、ブラスメッキを施してから最終伸線を行い、通常の3.6 程度の加工度とし、例えば強度370kgf/mm2以上、線径0.2 mmの鋼線とすればよい。さらに、本発明を実施例を参照しながら詳述するが、これは本発明の例示であり、これにより本発明が限定されるものではない。
【0042】
【実施例】表2に示す化学組成の鋼それぞれを150 kg真空溶解炉で溶製し熱間圧延により、直径5.5 mmの棒材に圧延した。
【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】この棒材に冷間伸線と熱処理とを繰り返して行い直径1.2 mmに圧延し、最終パテンティング処理として鉛パテンティング処理を行った後に、20%硫酸による酸洗および潤滑処理を行った後、湿式連続伸線機を用いて伸線を行い、直径0.20〜0.26mmのコードワイヤである試料No.1ないし試料No.27 を製造した。なお、鉛パテンティングは通常の方法でラメラ間隔が0.1 μm になるように鉛浴温度を調節して行った。試料の製造工程を下記に示す。
【0046】
【数2】

【0047】これらの試料について、パテンティング後伸線前の強度TS、絞りRAおよびラメラ間隔を測定するとともに、伸線後の強度TS、絞りRAおよび捻回値TN (チャック間距離:100×直径dmm) を測定した。また、各試料について回転曲げ疲労強度(107回繰り返して破断しない強度) を測定し、耐久比を求めた。結果を表2および表3にまとめて示す。
【0048】表2および表3に示す試料のうち、本発明例はいずれも、限界加工度 In(A0/An)=3.6 であるが、目標強度370 kgf/mm2 を越える強度を有し、かつ捻回値も33回を越える高い値を示した。さらに、鋼線において最も重要な特性の一つである疲労特性が、比較例では耐久比 (疲労強度/引張強さ) が0.25前後であるが、本発明例ではいずれも0.33前後の高い値を示している。疲労強度も比較例では70〜100 kgf/mm2 前後であるのに対し、本発明例では125 〜135 kgf/mm2 と高い値を示した。
【0049】これに対し、試料No.1は、C含有量が本発明の範囲の下限を下回っているため、鋼線の強度が不足した。試料No.6は、C含有量が本発明の範囲の上限を上回っているため、鋼線の延性が劣化した。
【0050】試料No.9は、Si含有量が本発明の範囲の上限を上回っているため、鋼線の延性が劣化した。試料No.12 は、Mn含有量が本発明の上限を上回っているため、鋼線の延性が劣化した。
【0051】試料No.13 は、P含有量が本発明の範囲の上限を上回っているため、鋼線の延性が劣化した。試料No.14 は、S含有量が本発明の範囲の上限を上回っているため、鋼線の延性が劣化した。
【0052】試料No.15 は、Cr含有量が本発明の範囲の下限を下回っているため、鋼線の強度が不足した。試料No.18 は、Cr含有量が本発明の範囲の上限を上回っているため、鋼線の延性が劣化するとともに強度が不足した。
【0053】試料No.19 は、N含有量が本発明の範囲の上限を上回っているため、鋼線の延性が劣化した。試料No.20 は、B含有量が本発明の範囲の下限を下回っているため、鋼線の疲労強度が劣化した。
【0054】試料No.23 は、B含有量が本発明の範囲の上限を上回っているため、鋼線の疲労強度が劣化した。試料No.24 は、B含有量が本発明の範囲の下限を下回っているため、鋼線の疲労鋼線の強度が劣化した。
【0055】試料No.27 は、B含有量が本発明の範囲の上限を上回っているため、鋼線の疲労強度が劣化した。このように、本発明の範囲を満足する鋼組成を有する鋼線材を使用することにより、通常条件のパテンティング処理および従来の加工度Inε=3.6 の伸線を行っても、370kgf/mm2以上の強度と35回以上の捻回値とを示し、疲労強度が 124〜133kgf/mm2と従来よりも高い値を示す鋼線を製造することが可能となった。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、加工度が従来と同等の3.6 の伸線を行っても、強度:370 kgf/mm2 以上、捻回値:30回以上、疲労強度120 kgf/mm2 以上の高強度・高延性鋼線を製造することが可能となった。自動車用スチールタイヤの補強用コードワイヤとして、本発明を利用して製造される高強度・高延性鋼線を用いることにより、自動車の軽量化に著しく寄与することができる。




 

 


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